【第3回 インタビュー】診断基準と検査数値

糖尿病の診断の際に用いられる検査数値として代表的なものが、血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)です。一般健診でこれらの数値をチェックされている方も多いのではないでしょうか。

血糖値の場合、空腹時の数値が126mg/dL以上(随時血糖値(*)が200mg/dL以上)、HbA1cの場合、6.5%以上というのが糖尿病の診断基準となります。ただし、即、糖尿病と診断されるのは両方の数値が基準値を超えている場合のみです。

血糖値のみが基準値を超えている場合は、糖尿病の典型的な症状(口の渇きや多飲、多尿、体重減少のほか、糖尿病網膜症など)が認められる場合に糖尿病と診断されます。症状がない場合でも後日の再検査で、血糖値かHbA1cのいずれか、もしくは両方が基準値を超えていた場合に糖尿病という診断がつきます。

初回でHbA1cのみが基準値を超えていた場合は、再検査を受け、血糖値、もしくは血糖値とHbA1cの両方が基準値を超えていた際に糖尿病と診断されます。

出典:糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/calendar/2010/010271.php

より詳しい検査としては、「ブドウ糖の負荷試験」というものがあります。空腹の状態でブドウ糖のサイダーのようなものを飲んでいただくのですが、飲む前、飲んでから30分後、1時間後、2時間後の計4回採血をして、空腹時の血糖値が126mg/dL以上、2時間後の血糖値が200mg/dLを超えている場合に糖尿病が疑われます。この検査は、主に糖尿病専門のクリニックなどで実施されるものですが、インスリンを出す能力や、インスリンの効きにくさなどがわかるため、その後の対策や治療法を導くことができます。

また、基準値以下であっても、血糖値が110g/dL以上、HbA1cが5.8%を超えてくると、巷でよくいわれる“予備軍”のゾーンに入ってきます。こういう方々は糖尿病とは診断されませんが、糖尿病に進行しやすい状態といえます。詳しいことは、先ほどお話ししたブドウ糖の負荷試験をしてみないとわかりませんが、糖に耐えるだけのインスリンが出ていない状態、つまり耐糖能障害(耐糖能異常)の可能性も高いと考えられます。

ただし、数値だけを見て、すぐに投薬などの治療に入るというわけではありません。詳しい検査をして今の体の状態を把握し、生活習慣についても詳しくお聞きしたうえで、その方に合った治療法や対策の提案をしていきます。「糖尿病」とひと口に言っても、原因や症状、血糖以外の体の状態も人それぞれなので、糖尿病の治療は“オーダーメイド医療”といえます。

*随時血糖値:食事時間とは無関係に測定した血糖値。

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