【第7回 インタビュー】食事法

宮崎裕子先生 プロフィール

五反田みやざき内科クリニック
院長: 宮崎裕子先生
HP:https://www.gotanda-naika.com
糖尿病治療のほか、電話・オンラインによるメディカルダイエット外来や、病院専売の美容コスメの取り扱いもあります

横浜市立大学卒。
資格:医学博士・総合内科専門医・糖尿病専門医・産業医。
所属学会:日本内科学会・日本糖尿病学会・日本内科学会・抗加齢学会・禁煙学会等。甲状腺・下垂体・副腎・性腺などの内分泌疾患の診断、治療を行う。糖尿病については、妊娠糖尿病や1型糖尿病から2型糖尿病を含む生活習慣病、その合併症管理などを総合的に行い、漢方やダイエット治療なども行っている。

宮崎裕子先生

糖尿病の外来では、食事内容だけでなく、食生活についても細かくうかがうのですが、「朝食を食べているか」というのも大事なポイントとなります。なぜなら、朝食を食べていない人は、昼食後の血糖の上昇が大きくなるためです。

食事回数については、単純に増やしても、食べるたびに血糖値が上がってしまうので、1日3食でインスリンを出すタイミングを絞っていくのがいいと思います。そのため、3時のおやつが習慣となっている人は、おやつを昼食後のデザートとして食べてもらったほうが、インスリンを出す回数を4回から3回に減らせて、すい臓の負担も軽くなります。

外食に関しては、お店選びやメニュー選びが重要です。定食などはカロリー計算も量の調節もしやすいのでオススメです。丼ものだけ、パスタだけといった炭水化物中心のメニューはできれば避けたいところです。

また、インスリンを出す能力が弱い方の場合は、食事の最初のほうはインスリンの量が追いつかないので、「最初に野菜やタンパク質を食べて、その後に炭水化物を食べてください」といったアドバイスをします。

糖尿病の改善を目指す際、多くの場合はまず「体重の3%を減らす」ことを目標にします。それは、やせることでインスリンの効きがよくなるというメリットがあるためです。期間はその人によりますが、だいたい3~6か月、場合によっては1年かけてもかまいません。

たとえば、まず1か月で1kg減らすとした場合、脂肪を1kg減らすにはトータルで7000kcal減らさなければなりません。1か月の中で食事制限だけで7000kcal減らすというのはかなり難しいので、患者さんと相談しながら、摂取カロリーを減らす食事の工夫と、消費カロリーを増やす運動をうまく組み合わせて減らしていきます。

そこでもし「唐揚げだけは大好きなので絶対に外せない」ということであれば、「じゃあ、唐揚げは食べるとして、その分ここで運動を足しましょうか」といった提案をします。

大切なのは厳しい制限を設けることではなく、その生活を10年後、20年後も続けられるかということです。糖尿病は一度罹患したら、基本的にずっとつき合っていく病気です。だからこそ、完璧を目指して無理をするのではなく、長く続けていける範囲で、少しでも理想に寄せていくということが大切です。そのため、今日だけは好きな食べ物を解禁するといった「チートデイ」を設けることも時には必要です。そういう意味では、病院は糖尿病とうまくつき合っていく方法を学ぶ場のようなものなので、利用してもらえたらと思います。

お酒も絶対にダメというわけではありません。ビールだと500ml、日本酒だと1合程度が目安となります。たまに「ハイボールなら飲んでも大丈夫ですか?」という質問を受けますが、少しでも糖質の低いものを選ぼうという姿勢はとてもいいと思います。

しかし、そもそもアルコール自体が血糖値を上げてしまうものなのです。これは、肝臓でアルコールが分解される際に糖がどんどん作られてしまうためで、お酒を飲むと自動的に糖が増えてしまうわけです。

実際、お酒が強い人、つまりたくさんお酒が飲める人のほうが糖尿病になりやすいというデータもあります。

また、脂肪肝など肝臓に負担がかかっている人は、インスリンが効きにくい傾向があります。そのため、たとえ糖質の少ないお酒であっても、アルコールであれば血糖値が上がってしまうので、酒量には注意が必要です。